講談杮落とし

仕事の合間に読んだ本やドラマ、アニメ、映画の記録です。

『呪術廻戦 16』あらすじと感想(ネタバレ含む)

こんばんは、こけらです。

今回は芥見下々さんの『呪術廻戦』第16巻です。

呪術廻戦 16 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ダークな雰囲気と舞台がとても大好きな漫画です。

16巻表紙は偽夏油。本物の夏油くんは耽美でしたか、こちらは淫靡ですね。

脳から垂れているのは脳漿でしょうか。おいしいんですかね。このえぐみと気持ち悪さが、『呪術廻戦』だなあという感じがします(最大級の賛辞)。

渋谷事変編もいよいよクライマックス。いつも通りネタバレまみれでお送りします。

 

 

 

 

 

 

以下ネタバレまみれ

 

 

 

 

 

 

あらすじ
真人を手中に収め、自らの計画の一端を語り出す夏油。渋谷事変の最終局面に呪術師達が集うなかで、脹相は夏油の亡骸に寄生する“黒幕”の正体に気付くが!? 事変の終焉が招く破滅と混沌、世界は急変する――…!!

 

登場人物(人外含む)

虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)・・・・宿儺の器

両面宿儺(りょうめんすくな)・・・・特級呪物

 

パンダ・・・・・・・・・・・・・・・呪術師

日下部篤也(くさかべ・あつや)・・・呪術師

西宮桃(にしみや・もも)・・・・・・呪術師

加茂憲紀(かも・のりとし)・・・・・呪術師

禪院真依(ぜんいん・まい)・・・・・呪術師

三輪霞(みわ・かすみ)・・・・・・・呪術師

庵歌姫(いおり・うたひめ)・・・・・呪術師

 

九十九由基(つくも・ゆき)・・・・・呪術師

脹相(ちょうそう)・・・・・・・・・呪胎九相図

 

禪院直哉(ぜんいん・なおや)・・・・呪術師

禪院扇(ぜんいん・おうぎ)・・・・・呪術師

禪院甚壱(ぜんいん・じんいち・・・呪術師

 

乙骨憂太(おっこつ・ゆうた)・・・・処刑人

 

■■(偽夏油)・・・・・・・・・・・呪詛師

裏梅(うらうめ)・・・・・・・・・・呪詛師

 

ついに来ました乙骨先輩。東京校より京都校の面々が全面に出ていた気がします。

 

 

 偽夏油と加茂憲倫

 「聞いてるかい? 宿儺」

 「始まるよ。再び、呪術全盛平安の世が。」

 史上最悪の術師と偽夏油は同一人物でした。以前にも名前だけ出てきましたね、脹相たち呪胎九相図を作った加茂家の汚点。そう繋がってくるか。こうなると本当に黒幕、というかラスボスでしょうか。

 呪霊操術、極の番「うずまき」を利用して真人の術式「無為転変」が使えるようになっていました。最強というより最凶って感じですね。そしてちゃっかりおまけページで名前が明かされていました(一枚絵が格好いい)。

 「羂索」。読みはけんさく、か、けんじゃく、でしょうか。不空羂索観音像なんかを思い出しますね。東大寺に乾漆像があった気がします。辞書で調べたところ、「五色の糸をなって作る縄状の仏具。端に半形の金剛杵や鐶をつける。不動明王不空羂索観音などが持ち、衆生済度の象徴とする」だそうです。これからどう絡んでくるか楽しみですね。次巻あたりで明かされるのでしょう。

 裏梅と一緒にいるのは、何かの作戦なんでしょうかね。そういえば彼女(彼?)の術式も明かされました。氷凝呪法。いわゆる氷使いです。

 

 

 九十九由基、颯爽登場

 「ムカつくから皆であいつボコろう」

 裏梅に追い詰められていたところを助けてくれた特級術師です。術式は不明ですが、東堂の師匠なら相当強いはず…?偽夏油と論争しています。世界から呪霊を失くす方法。

 「呪力からの”脱却”だよ」

 「違う、呪力の”最適化”だ」

 ここ偽夏油が真顔なのがいいですね~。本心からそう思ってる感じがして。九十九さんはまだまだ全貌が明かされていないので何ともですが、敵でもなく味方でもないが悪人ではない、という感じでした。哀川潤。連れてる呪物(?)が『HUNTER×HUNTER』の「恐ろしく速い手刀を見逃さなかった俺」を食べてた念魚っぽいです。あれ名前なんだっけ……。

 偽夏油は遠隔で「無為転変」をし、マーキングしておいた人々の脳を呪術使える用に変えちゃいます。元からこの状況を想定していて、だからこそ五条とかじゃなく夏油傑を乗っ取ったんですかね。ちゃっかり伏黒津美紀もいますね。意識不明の伏線回収。千人もいるのか。もう日本おしまいでは……。そのまま偽夏油は退場。

 

 

 ええ性格してはる禪院家の方々

 「で、死んだん?」

 禪院家の人たちが登場しました。全巻までは真希、真依、直毘人くらいでしたが、どっと増えました。禪院甚壱は、字から見て甚爾の兄弟かな。禪院扇は真希真依の父親? でしょうか。ちょっとややこしい。家系図がほしいですね。

 そして当主の直毘人が亡くなったり(結構好きだったので悲しい)、遺言で伏黒くんが当主になったりと、そんなイベントが霞むレベルで、良い性格(京都弁解釈)してるんですよねー、この人達。自分が当主になることしか考えてない直哉くんとか、当主が死んでも誰も驚かない(むしろ笑うし)とか、新当主ぶっ殺しに行くとか言い出す始末……五条悟が「腐った呪術界」と言っていたのが分かった気がしました。直哉くんは直毘人と同じく投射呪法ですね。フレームどうたら。

 誰かこの家ぶっ壊してくれないかな……。

 

 

 処刑人、乙骨憂太。 

 「虎杖悠仁は僕が殺します。」

 作中一番好きな人物が登場して嬉しかったんですが、その話で絶望しました。

 なんで敵として出てくんだよ乙骨先輩!!!

 渋谷事変にかこつけて、上層部(エヴァのゼーレみたいな人たち)がいくつか通達を出しました。①夏油再死刑 ②五条悟永久追放 ③夜蛾学長処刑 ④虎杖処刑 ⑤虎杖の処刑人は乙骨 の五つです。この世の終わりみたいな通達です。封印された途端にこれです。五条悟は、どれだけ多くのものを守っていたんでしょうね。そして特級術師にして五条悟の教え子、乙骨憂太が、敵側に回ってしまいました(狗巻くん腕切られたんですね)。

 しかもクソ強い(言葉が汚くてすみません)。

 呪力量はあの五条悟より上。虎杖との戦闘で刀は折られますが、その最中に「リカちゃん」を出現させ動きを止め――心臓に突き刺します。乙骨くんは零巻の段階でもう祈本里香を解呪しているはずなのですが……後々明かされるのでしょう。普通なら死ぬけど虎杖どうなる……。色々と超然としている世界観の中で、一番人間味ある人物かなあと思ってたんですが……眼にハイライトないよ……また彼の笑顔を見れる日は来るのでしょうか。

 乙骨憂太については、前日譚となる『呪術廻戦第0巻 東京都立呪術高等専門学校』をご一読下されば。彼がうじうじしてます。傑作です。

 

 

 この巻の主人公は脹相だった。

「それでも弟の前を歩き続けなければならん」

「だから俺は強いんだ」

 今回のMVPは脹相でした。お兄ちゃん。裏梅対脹相、禪院直哉対脹相でしたが、魅力的な戦闘でしたね。裏梅の方は、反転術式すら効かない毒で、直哉くんの方はオリジナル技「超新星で、見せ場がありました。コマをぶち抜いて「全力でお兄ちゃんを遂行する」は、台詞は面白いけどめちゃくちゃ格好良かったです。小学校の頃は兄と一緒に少年漫画ばかり読んでいたので、こういうアツい人物は好きですね。

 二戦目、直哉くんとの戦闘も迫力がありました。「大技の前には溜めがある」、虎杖も指摘していた弱点です。直哉くんの考察からすると「超新星」は加茂家の技ではないのでしょう。攻撃を当てて関西弁クズを鎮めます――防御が更なる攻撃に転ずる攻撃、ジョジョ4部のドブネズミを思い出します。

 何より、兄弟を蔑み、踏み台とする人間の直哉くんが負け、兄弟を愛し、道を指し示す人外の脹相が勝つ。

 こういう展開好きですね~。

 人でなくとも血を分けた兄弟がいて、人でなくとも家族がいて、いびつでも曲がっていても、人でなしでも幸せでいられる。そういう話には、ちょっぴり心が救われます。

 

 まあ、最後に乙骨くんがぶん殴っていったんですけどね。

 強すぎるっての……。

 

 

 感想

 相変わらず最高でした。黒幕が登場し、徐々に物語の核心に近付いてきたような印象です。特に対立する人物(人外)達の対比。どうしてこんなに面白いんですか(面倒なファンの典型)。個人的には、おまけページで描かれていた絵がお気に入りでした。ついつい何度も見たくなってしまう。

 禪院家の当主は誰になるのか、虎杖悠仁の生死やいかに、五条悟を失った呪術界は一体どこへ向かい、世界はどうなってしまうのか。

 期待と絶望に胸を高鳴らせながら、次巻も楽しみにしています。

 

 

 というわけで、芥見下々さんの『呪術廻戦』第16巻でした!

 これにて擱筆

 

 こけら